地方(いわき)での建築・デザインを取り巻く環境を内側から見てみます。設計事務所の仕事は設計能力よりも日常への洞察と思慮で成り立っていること、図面の余白に書かれた見えないメッセージなどを紹介します。
2007年09月

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2007年09月26日

■設計事務所のお月見
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ノアの事務所では必ずお月見をする。月見だけでなく花見も大事にする。というより、年間を通じて日本の歳時を大事にしている。それは設計をしてゆく上で必要な情緒だからだ。パソコンと法律と専門知識だけでできる仕事ではないのを時々確認するためでもある・・。
この秋もいい月を皆で見ることができた。団子とススキを準備し、あけびや葡萄・芋を供えサポーターの人たちが持参した栗やおやきもそろった・・そして酒と・・・そして四方山話になっていく・・・。

今回の法改正は天下の悪法ではないか・・いやそうでもない、それだけこれまでがいい加減だったのだ・・これは本当の目的は弱小事務所の淘汰にあるのではないか・・

そういえば有名建築家や大手設計事務所が今回の騒動に意見を殆どコメントしていない・・それはそうでこのままゆけば将来彼らにとっては有利なことばかりではないか・・例えば、デザインビルドやゼネコンとのタイアップなど小規模事務所ではできない手法が伸びる可能性が高い・・

コンペやプロポーザルに影響はないだろうか・・今年は完全な公開が少なくて限定が多いのは仕事が少なくなるのを見越した種々の団体の囲い込みが始まったのか・・

この状況で各種の設計関係の団体や士会が本来出すべきメッセージがあるのではないか・・いや出しにくい、出せない背景があるのではないか・・設計と監理が職能として自立できるチャンスだったのに何故こんなことになってしまったんだろう・・

いずれにしても現在でも相当仕事が減っているし、建材価格も下っている・・着工件数も50%を切る勢いで低下しているそうだ・・年末から来年にかけて建築不況がくるのは避けられないようだ・・

何か明るい話がないか・・そういえば先日フェルメールの「真珠の耳飾りの女」の映画をやっていた、あれは良かった、特に光の美しさが画面
全体ににじみ出ていた・・

光と映画といえば、黒澤映画がテレビドラマで最近リメイクされている
・・黒澤では「蜘蛛の巣城」が傑作だ・・いやいややはり「七人の侍」だ、白黒はいいねえ・・

白黒ならばヒッチコックの「サイコ」が傑作だ・・それじゃこれまでの一番の映画は私的に何か・・

「ベンハー」だ・・「駅馬車」だ・・いや「荒野の決闘」だ・・「荒野の用心棒」だ・・テレビ版「コンバット」もいい・・最近もので「マトリックス」・・「ローマの休日」がいい・・「老人と海」だよ・・「羊たちの沈黙」には勝てない・・「12人の怒れる男たち」だって・・・

酒のゲップがでるほどに、明日の頭痛を予感しながら、あれこれとつべこべと・・・。
夜が更けて月も昇りきった・・そういえば衛星「かぐや」が孤独に月に向かっているんだった・・頑張れ !「かぐや」 !。
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2007年09月23日

■ペットボトルツリー
ペットボトルツリー
高さ2.5m、直径≒1.0m、LED15.0m、1台当たりペットボトル≒300本使用。
070904_1940~0001.jpgこの冬、いわき市の鹿島街道にこのツリー(写真は試作品)が20台並ぶ予定で、今、ネーブルシティ(まちづくり団体)で計画が進行中。他地域からの要望もあり、約8000本のペットボトルを集め、洗浄加工中、いわきコンピューターカレッジの学生さんやボランティアが頑張ってくれている。
8000本のペットボトルの再生は身近なリユースが地球環境温暖化防止へと結びつく、ささやかではあるが地に足のついたプロジェクトだ。
数百本も運んでくれる事業所や2~3本を持参してくれる市民の方もいる。気軽に環境保全貢献に参加できる、小さいけれども気持ちのこもった活動だ。

かたや、いわき市平では競輪場改築と一丁目再開発ビル新築されたのに続き駅前再開発ビルと大コンサートホールを持つ文化交流施設がオープン間近、いわき市小名浜では福島県バックアップの民間委託テナント施設が来年春オープンで計画進行中。多核分散都市にコンパクトシティ論や中心(又は旧)市街地活性化論が同居するという混濁はあるがそれはそれで良い、むしろごった煮はエキサイティングかもしれない、しばらくは大規模なハード整備の連続の賑わいに沸くことだろう・・。

空き時間を見つけてじっとペットボトルのラベルはがし作業をしながら考えた。
地方都市はこんな風にいろいろな考え方が混在してゴチャゴチャとすすんでいるのもいいのかもしれない。何が正しいのか濁って見えないのならあせって無理に見通す必要もない。いずれ大雨の濁りの土砂は、石についた古いコケを洗い流して水が澄むとまた新しいコケを付ける、その代謝がないと鮎は棲めないんだから。
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2007年09月21日

■ものづくりはいい・・
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今年も高校、中学のインターンシップ(職場体験)を受け入れた。今年は3校からきたが今日は中学生3名。この制度に多少の疑問は感じるがまあ止むを得まいと思っている。そして、生徒や学生よりも先生の資質のことが垣間見えてしまうこともある。気分の良いことばかりではない。
それはともかく、今日は現場へ連れていった。設計事務所は設計するだけでなく現場監理もすること、そして現場の人は安全対策、近隣対策、健康管理など数々の苦労があることなどを私が話すのだが・・最後に現場監督員が、
「設計者さんはたいへん苦労が多いようにおっしゃるけれども、それは本当でも、それ以上にものが出来上がってゆくのはそして竣工した喜びはいいんですよ・・ものづくりは本当にいいんですよ・・その充実感があるから私たちはやっているんですよ。」
と 生徒相手に丁寧に静かに言った。

そうだった。法律がどうの、設計システムがどうの、といっている間でも、現場は静かに力強くすすんでいる。
ものづくりはいい・・ここに主役がいるのであって、法文や行政窓口、デスクの上にいるのは私たちも含めて脇役なのだ。ガタガタしていては出来上がりを待っている建物に申し訳ない。

2007年09月19日

■手数料を返してもらいたい
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つまらない話だが、あまりに法改正でその運用が煩わしいので一言いっておかねばならない。
増築計画があるが、既存が新耐震基準(S56年)以降のものでも一定規模以上の増築は既存も耐震診断をするかピアチェックをするとか、という困ったケースでのこと・・。

設計者「・・というわけで、今年の6月20日以前のものは全て既存不適格建物となったわけです。改めて今ある建物も耐震チェックかなにかをしなければならない・・納得いかないのですが、どうもこれが今度の法改正の流れのようです。」
施主「・・・事情はわかりました。でもこれまでも法に基づいて新耐震基準で確認をしてもらっているのですから、これまで確認や検査に払った手数料を全額返してもらいたい。」
設計者「・・・」

今回の基準法改正の混乱の原因は、設計と施工と行政のチェック関係だけをキャッチボールし、これまでのユーザー(これからのユーザーではなく)が無視されていることだった。構造計算偽装事件に始まり設計事務所の性悪説に法改正のベースを着地させているが、そんな未熟な論拠で抜け落ちた結果のこの波紋はただごとではすみそうにない。

2007年09月14日

■プロポーザル2 :疲労感
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再度解読する。
昨日の本宮市のプロポーザルのことの続きで、ある人のコメント。

「よく考えてみると参加資格の「市に入札参加資格があること」はおかしいのではないでしょうか。
そもそも入札とは金額の多寡で決まるもの、一方プロポーザルは提案の内容で設計者を選定する仕組み。
入札させてと言っている人だけに提案をする権利が発生するのは矛盾でしか、ありません。」

そのとおり。このことで日本建築家協会東北支部福島サロンは本宮市に「要望書」を出した。熱意のある提案があるからこそ、設計という職能を大事に思うからゆえ、声を出すのである。誤解なきようにお願いしたい。そのくらいこのプロポーザルは、市町村の設計という業務に対する取り組みへの期待と希望が大きかったのだ。
そして他方に一様に黙している人たちがいる・・。

このような疲労感は次代に繋がる何も無い。

2007年09月12日

■プロポーザル :地域の事情
プロポーザルの対象地

写真は福島県本宮市の「本宮市複合施設整備事業 公募型プロポーザル」の現場写真である。ここに保健・福祉などの複合施設が予定面積2500㎡以内、予定事業費7億円で建設されることになり、公募プロポーザル募集が発表された。
実はこの計画は以前から報道されており、本宮市が小学校の改築で昨年県内設計事務所対象にオープンの公募プロポーザルを行っていたことから、当社も期待して待っていた。
数ヶ月前から相当な資料収集も始まっていた。夏休みには現場周辺を見にいったりもした。
しかし、今回の参加資格は、
 「 本宮市に入札参加資格があること 」
が 小学校のときに比べて加わっており、参加できなくなった。
非常に残念である。

最近、市町村のプロポーザルや設計コンペが、様々なかたちで参加制約が増えてきているように思う。本来、入札に比べて公開、オープン化を目指して始まったシステムなのだが、これでは若い人や経歴の若い小さい事務所が挑戦できる機会がなくなってしまう。入札よりは良い・・ということで新たなカテゴリーを作っていなければよいのだが・・。
地域の事情は種々あるだろうが、一定規模のものは何とかそのような公開性のある機会に恵まれることを望むほか無い。

設計もまた、グローバル化の波に苦しんでいる。しかし、まだ住宅の設計などの現実と現代建築論や建築理念の狭間で、地域で頑張っている設計者は数多くいるだろう。その精神が疲弊してしまわないことを祈るのみである。
最近の若い世代のコンペやプロポーザル離れ、法改正による喧騒、異常な価格競争での入札など、こんなことで設計という職能に明日があるのだろうか・・。

2007年09月07日

■「い・こ・い・の・広・場」
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建築現場は、あの囲いの塀の内側は、一般市民にとっては荒々しくて険しくて何か別の世界のように感じていることだろうと思う。写真は今、監理中の介護老人保健施設の現場のスナップである。見にくいが、ベンチがあって木陰があって、簡易フェンスの看板には「い・こ・い・の・広・場」と書かれている。
この現場が労働基準協会の「快適職場」の認定を受けたから設置されたものだろうと思う。何千㎡という何十人もの汗臭い男たちが黙々と働いている現場=職場が、確かに直ぐ脇にある。そして勿論、立派な現場事務所や詰所や職人たちの休憩所も他にある。
指定を受けたとき、普段そんなことを考えたこともない現場の大人達が「快適職場」のイメージとしてこれを考え、このようなネーミングになったとすれば何とも微笑ましい。
そして実際に、現場で働いている職人達もこの不自然で不似合いなものに何も言わないのがまた良い。(もしかすると、昼休みにはここで昼寝しているのかもしれない。)

全く関係はないのだが、
・・男はやさしくなければいけない、やさしくなければ生きている資格がない・・
といったフレーズが不意に浮かんで、この夏の残暑厳しい、暑い現場に涼風を感じた。
現場の工程会議で、互いにいい仕事に仕上げるための厳しいやりとりが終わって眉間にしわを寄せて仮設事務所の階段を降りてきたら、この「い・こ・い・の・広・場」・・・現場はいいねエ !

2007年09月01日

■「住」ということ
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新潟県中越沖地震被害家屋での作業の安全確認・住宅相談にボランティア支援で行かれた建築家の報告書を読んだ。本当にご苦労さまでした。家屋が被災にあわれた方と直接に対応する専門家としての難しさがよくわかります。特に高齢者の被災者の住宅に対する思いは、いかばかりのことであろうと思います。被災された皆様には希望を失わずに頑張っていただきたいと思います。

今回の被災建物は、県の発表では8月末の時点で一部損壊まで含めると、住宅が約34500世帯、非住宅でも約30500棟と発表されている。これだけの建物が程度の差があるにしても、一気に生活に機能しなくなったのである。大変なことである。
「衣食住が足りて・・」とよく云われるが、このような災害があると「衣食」に「住」が加わっている意味が痛切に感じられる。生活の根本を形成するものであるということだ。

「衣食住の中で最も重要なものは住だと思う。何故なら今夜帰って足を伸ばして眠るところがあるということは、貧しさよりも飢えよりも人間にとって優先的に必要なことだと思う・・帰るところが無いという寂しさは耐えがたい・・」と、あるオーナーに言われたことがある。
報告書を読みながら、その言葉を思い出す。
そして「住」に関わる仕事に携わることの尊さと謙虚さを忘れてはいけない・・。


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